Story
事の始まりは、マッツ・ブリュガー監督のもとに届いた一通のメッセージだった。
メッセージの送り主は、デンマークのコペンハーゲン郊外で妻子と暮らす元料理人のウルリク・ラーセン。
謎のベールに覆われた北朝鮮に並々ならぬ興味を抱く彼は、
この独裁国家の実情を探る“潜入調査”のドキュメンタリー映画を作ってほしいという。
まずウルリクが目をつけたのは、コペンハーゲンにある北朝鮮友好協会という団体だった。
メッセージの送り主は、デンマークのコペンハーゲン郊外で妻子と暮らす元料理人のウルリク・ラーセン。
謎のベールに覆われた北朝鮮に並々ならぬ興味を抱く彼は、
この独裁国家の実情を探る“潜入調査”のドキュメンタリー映画を作ってほしいという。
まずウルリクが目をつけたのは、コペンハーゲンにある北朝鮮友好協会という団体だった。
2011─2013
2011年、コペンハーゲンにあるデンマーク/北朝鮮友好協会に加入し、潜入スパイとしての第1歩を踏み出したウルリクは、2012年に協会の一員として北朝鮮のピョンヤンを初めて訪問した。文化省の高官カンに迎えられ、北への貢献を称えるメダルを授与されたウルリクは、現地でKFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロ・カオ・デ・ベノスと出会う。KFAはデンマーク/北朝鮮友好協会よりはるかに巨大な組織で、アレハンドロは北のあらゆる要人に顔が利く大物中の大物だった。
2013年、スペインのバルセロナでアレハンドロと再会したウルリクは、新たに立ち上げるKFAデンマーク支部の代表に任命された。アレハンドロの信頼を得たウルリクは、それ以降、彼の側近として活動することになる。
2013年、スペインのバルセロナでアレハンドロと再会したウルリクは、新たに立ち上げるKFAデンマーク支部の代表に任命された。アレハンドロの信頼を得たウルリクは、それ以降、彼の側近として活動することになる。
2014─2016
2014年には、ヨーロッパ各地のKFAの年次総会に出席し活発な活動を行う。
そして2015年、ウルリクはスペイン・タラゴナで開催されたKFA年次総会で北欧4カ国の代表に昇進した。するとアレハンドロから、北朝鮮とのビジネスに関心がある投資家を探すよう命じられる。ウルリクから報告を受けたブリュガーは、かつてフランス軍の外人部隊に所属していた“ジム”という男を呼び寄せ、ミスター・ジェームズという偽の投資家役に起用する。裏社会の事情に通じている百戦錬磨の彼こそは、この危うい任務にうってつけの人材だった。
2016年、ウルリクはアレハンドロをノルウェーのオスロに招き、“石油王”に成りすましたジェームズに引き合わせる。ホテルの一室でアレハンドロが切り出したのは、北朝鮮が生産する武器や覚醒剤に関する違法取引だった。後日、スペイン・マドリードで改めてアレハンドロとの商談に臨んだジェームズは、「イスラエルの敵勢力に武器を売りたい」という架空の要望を伝える。アレハンドロは喜んでそれに応じ、翌年早々にジェームズとウルリクが北朝鮮を訪問することが決定した。
そして2015年、ウルリクはスペイン・タラゴナで開催されたKFA年次総会で北欧4カ国の代表に昇進した。するとアレハンドロから、北朝鮮とのビジネスに関心がある投資家を探すよう命じられる。ウルリクから報告を受けたブリュガーは、かつてフランス軍の外人部隊に所属していた“ジム”という男を呼び寄せ、ミスター・ジェームズという偽の投資家役に起用する。裏社会の事情に通じている百戦錬磨の彼こそは、この危うい任務にうってつけの人材だった。
2016年、ウルリクはアレハンドロをノルウェーのオスロに招き、“石油王”に成りすましたジェームズに引き合わせる。ホテルの一室でアレハンドロが切り出したのは、北朝鮮が生産する武器や覚醒剤に関する違法取引だった。後日、スペイン・マドリードで改めてアレハンドロとの商談に臨んだジェームズは、「イスラエルの敵勢力に武器を売りたい」という架空の要望を伝える。アレハンドロは喜んでそれに応じ、翌年早々にジェームズとウルリクが北朝鮮を訪問することが決定した。
2017─2018
2017年1月、ピョンヤンを訪れたジェームズとウルリクはVIP待遇でもてなされ、滞在3日目に車で郊外へ連れ出された。廃墟のような建物の地下空間で武器工場の社長らと交渉した結果、ジェームズは武器や覚醒剤を製造する秘密工場を北朝鮮の国外に建設する約束を交わし、その契約書をコペンハーゲンのブリュガーのもとへ持ち帰った。
秘密工場の建設地として、アフリカのウガンダ・ビクトリア湖の島が浮上した。ジェームズがウルリクを伴って現地に赴くと、ウガンダ人の不動産ブローカーは4ヵ月以内に数千人の住民を島から立ち退かせると言い放つ。秘密工場の話がトントン拍子で進展するかたわら、ダニーと名乗る北朝鮮の武器商人がジェームズに別のビジネスを持ちかけてくる。それは北朝鮮製の武器をシリアに運んでほしいというものだった。
さらに2018年、ジェームズはアレハンドロから石油の密輸ビジネスに誘われ、ヨルダンのアンマンでシャヒム・アル・ダスーキという人物と対面。そこでジェームズは、ダスーキとの間で320万ドルの巨額契約を結んだ。一方、スウェーデン・ストックホルムの北朝鮮大使館に呼び出されたウルリクは、職員からウガンダに建てる秘密工場のイメージ写真を受け取り、「今後、何かあっても当大使館は一切関知しない」と告げられる。
秘密工場の建設地として、アフリカのウガンダ・ビクトリア湖の島が浮上した。ジェームズがウルリクを伴って現地に赴くと、ウガンダ人の不動産ブローカーは4ヵ月以内に数千人の住民を島から立ち退かせると言い放つ。秘密工場の話がトントン拍子で進展するかたわら、ダニーと名乗る北朝鮮の武器商人がジェームズに別のビジネスを持ちかけてくる。それは北朝鮮製の武器をシリアに運んでほしいというものだった。
さらに2018年、ジェームズはアレハンドロから石油の密輸ビジネスに誘われ、ヨルダンのアンマンでシャヒム・アル・ダスーキという人物と対面。そこでジェームズは、ダスーキとの間で320万ドルの巨額契約を結んだ。一方、スウェーデン・ストックホルムの北朝鮮大使館に呼び出されたウルリクは、職員からウガンダに建てる秘密工場のイメージ写真を受け取り、「今後、何かあっても当大使館は一切関知しない」と告げられる。
2019─2020
2019年のコペンハーゲン。ウガンダの秘密工場、北朝鮮の武器売買、ダスーキが絡む石油密輸という三角取引の契約を結ぶため、北朝鮮の特使がやってきた。その契約書にサインしたジェームズは、後日、カンボジア・プノンペンのホテルで武器商人のダニーから北朝鮮の最新兵器リストを手渡される。
ジェームズはダニーとの商談後、忽然と姿を眩ました。これ以上の潜入調査は危険と判断したブリュガーの指示によるものだった。続いて、ウルリクも同年のコペンハーゲンで行われたKFA年次総会のスピーチを最後に、潜入スパイのミッションから身を退くことに。しかしウルリクには、まだやるべきことが残されていた。それは10年間にもわたって重大な秘密を隠してきた妻サーシャと、彼がずっと欺き続けてきたアレハンドロへの“真実の告白”だった……。
ジェームズはダニーとの商談後、忽然と姿を眩ました。これ以上の潜入調査は危険と判断したブリュガーの指示によるものだった。続いて、ウルリクも同年のコペンハーゲンで行われたKFA年次総会のスピーチを最後に、潜入スパイのミッションから身を退くことに。しかしウルリクには、まだやるべきことが残されていた。それは10年間にもわたって重大な秘密を隠してきた妻サーシャと、彼がずっと欺き続けてきたアレハンドロへの“真実の告白”だった……。