背景 背景
平凡な元料理人は どのように北朝鮮を欺いたのか? 潜入期間10年、 危険極まりない策謀活動が いま赤裸々に語られる。
この男、ヤバすぎる―。
人物
モザイク
THE MOLE

ザ・モール

武器密売の闇を暴く!“全世界騒然”“100%ノンフィクション”の衝撃スパイ・サスペンス。 武器密売の闇を暴く!“全世界騒然”“100%ノンフィクション”の衝撃スパイ・サスペンス。
2021年10月15日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか 全国順次公開
劇場情報

trailer

ごく平凡な一市民の潜入スパイ活動が、謎に満ちた北朝鮮の闇取引の実態を暴き出す!“全世界騒然”の衝撃ドキュメンタリー ごく平凡な一市民の潜入スパイ活動が、謎に満ちた北朝鮮の闇取引の実態を暴き出す!“全世界騒然”の衝撃ドキュメンタリー

introduction

この世には奇想天外なフィクションよりも、はるかに不思議な出来事がある。「事実は小説より奇なり」はまさにそれを表すことわざだが、デンマークのマッツ・ブリュガー監督が手がけたセンセーショナルなドキュメンタリー映画『THE MOLE(ザ・モール)』を観た者は、誰もが手に汗握って息をのみ、こう呟かずにいられないだろう。「事実はスパイ映画より奇なり」と。
本作が追求したテーマは、長らく国際社会が疑惑の目を向けてきた北朝鮮による海外への武器密輸問題だ。国連から厳しい経済制裁を受けている北朝鮮が、その締めつけをかいくぐって国家ぐるみの闇取引を行っている生々しい現場を、隠しカメラと盗聴用マイクで記録することに成功した。しかも命の危険を顧みずに潜入スパイとなり、前代未聞の衝撃映像の撮影を成し遂げた人物は、情報機関の工作員でもスゴ腕の記者でもない。プロフェッショナルな諜報の世界とは一切無縁の元料理人、すなわち素人の一般市民なのだ!

すべての始まりは、ブリュガー監督のもとに届いた一通のメールだった。その送り主であるコペンハーゲン郊外在住の元料理人ウルリク・ラーセンは、謎に満ちた独裁国家、北朝鮮の真実を暴くためのドキュメンタリーを作ってほしいという。ブリュガーは返答を濁したが、自らの意思でコペンハーゲンの北朝鮮友好協会に潜入したウルリクはたちまち信頼を得て、協会内でスピード出世を果たしていった。そして北朝鮮のピョンヤンでKFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロという怪しげなスペイン人と出会い、違法の投資ビジネスに深く関わっていくことに。ウルリクから報告を受けたブリュガーは、元フランス軍外人部隊の“ジム”という男に偽の石油王ミスター・ジェームズを演じさせ、陰ながらウルリクの潜入調査を指揮していく。やがて世界各国でアレハンドロ、北朝鮮の要人や武器商人らとの商談を重ねたウルリクとジェームズは、その巨大な闇取引の全貌を隠しカメラに収めていくのだった……。

巧みな嘘と隠しカメラで撮られた驚愕の真実。あらゆるスパイ映画を超える“本物”のスリルと、究極の臨場感がみなぎる命がけの潜入調査!

実に10年間におよぶこの信じがたいドキュメンタリーは、欧米、アジア、アフリカなど14ヵ国で撮られた映像で構成されている。ハリウッドのスパイ映画さながらの壮大なスケールだが、観る者をそれ以上に驚かせるのは、これまで分厚い謎のベールに覆われてきた北朝鮮による武器取引の実情が具体的かつ克明に記録されていることだ。とりわけ2017年、ピョンヤン郊外のスラム街の地下空間に足を踏み入れたウルリクとジェームズが、北朝鮮の高官らと直接交渉を交わし、契約書や売買価格付きの兵器リストなどの機密資料をコペンハーゲンに持ち帰るエピソードは衝撃的だ。
また本作は、見た目からしてごく平凡なデンマークの一般市民が、CIAさえ容易に情報を掴めなかった北朝鮮の国際的な闇取引のネットワークに潜り込み、その実態を赤裸々に暴いたことも未曾有の事例だ。ウルリクと架空の石油王に扮したミスター・ジェームズのコンビが、北朝鮮の関係者たちを巧みに欺きながら盗撮を重ね、想像を絶する闇取引の奥底へと踏み込んでいく様は正真正銘の“リアル”スパイ活動の記録であり、あらゆるフィクションを超えた究極のサスペンスと臨場感がみなぎっている。

この途方もない潜入調査を後方支援したマッツ・ブリュガー監督は、日本でも昨年公開された『誰がハマーショルドを殺したか』(2019)で話題を呼んだジャーナリスティックなフィルムメーカーである。映画デビュー作『ザ・レッド・チャペル』(2009)で北朝鮮の怒りを買い、入国禁止となった因縁を持つ北欧の鬼才が、ウルリクらが撮影した映像素材にナレーションや撮り下ろしのインタビュー・シーンを新たに加え、まさしく“全世界騒然”のスパイ・ドキュメンタリーを完成させた。
ちなみに本作は、昨年秋に英国BBCと北欧のテレビ局、今年2月には「潜入10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇」という題名でNHK-BSにて放送され、大きな反響を呼んだ。あまりにもショッキングな内容ゆえに「本当にドキュメンタリーなのか?」という声が各方面から上がったが、専門家による映像の鑑定を行ったブリュガー監督は100%ノンフィクションだと言明。すでに国連とEUも本作の告発に関心を示しており、今後新たな国際調査へと発展していく可能性もあるという。

Story

事の始まりは、マッツ・ブリュガー監督のもとに届いた一通のメッセージだった。
メッセージの送り主は、デンマークのコペンハーゲン郊外で妻子と暮らす元料理人のウルリク・ラーセン。
謎のベールに覆われた北朝鮮に並々ならぬ興味を抱く彼は、
この独裁国家の実情を探る“潜入調査”のドキュメンタリー映画を作ってほしいという。
まずウルリクが目をつけたのは、コペンハーゲンにある北朝鮮友好協会という団体だった。
2011─2013
2011年、コペンハーゲンにあるデンマーク/北朝鮮友好協会に加入し、潜入スパイとしての第1歩を踏み出したウルリクは、2012年に協会の一員として北朝鮮のピョンヤンを初めて訪問した。文化省の高官カンに迎えられ、北への貢献を称えるメダルを授与されたウルリクは、現地でKFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロ・カオ・デ・ベノスと出会う。KFAはデンマーク/北朝鮮友好協会よりはるかに巨大な組織で、アレハンドロは北のあらゆる要人に顔が利く大物中の大物だった。
2013年、スペインのバルセロナでアレハンドロと再会したウルリクは、新たに立ち上げるKFAデンマーク支部の代表に任命された。アレハンドロの信頼を得たウルリクは、それ以降、彼の側近として活動することになる。
2014─2016
2014年には、ヨーロッパ各地のKFAの年次総会に出席し活発な活動を行う。
そして2015年、ウルリクはスペイン・タラゴナで開催されたKFA年次総会で北欧4カ国の代表に昇進した。するとアレハンドロから、北朝鮮とのビジネスに関心がある投資家を探すよう命じられる。ウルリクから報告を受けたブリュガーは、かつてフランス軍の外人部隊に所属していた“ジム”という男を呼び寄せ、ミスター・ジェームズという偽の投資家役に起用する。裏社会の事情に通じている百戦錬磨の彼こそは、この危うい任務にうってつけの人材だった。
2016年、ウルリクはアレハンドロをノルウェーのオスロに招き、“石油王”に成りすましたジェームズに引き合わせる。ホテルの一室でアレハンドロが切り出したのは、北朝鮮が生産する武器や覚醒剤に関する違法取引だった。後日、スペイン・マドリードで改めてアレハンドロとの商談に臨んだジェームズは、「イスラエルの敵勢力に武器を売りたい」という架空の要望を伝える。アレハンドロは喜んでそれに応じ、翌年早々にジェームズとウルリクが北朝鮮を訪問することが決定した。
2017─2018
2017年1月、ピョンヤンを訪れたジェームズとウルリクはVIP待遇でもてなされ、滞在3日目に車で郊外へ連れ出された。廃墟のような建物の地下空間で武器工場の社長らと交渉した結果、ジェームズは武器や覚醒剤を製造する秘密工場を北朝鮮の国外に建設する約束を交わし、その契約書をコペンハーゲンのブリュガーのもとへ持ち帰った。
秘密工場の建設地として、アフリカのウガンダ・ビクトリア湖の島が浮上した。ジェームズがウルリクを伴って現地に赴くと、ウガンダ人の不動産ブローカーは4ヵ月以内に数千人の住民を島から立ち退かせると言い放つ。秘密工場の話がトントン拍子で進展するかたわら、ダニーと名乗る北朝鮮の武器商人がジェームズに別のビジネスを持ちかけてくる。それは北朝鮮製の武器をシリアに運んでほしいというものだった。
さらに2018年、ジェームズはアレハンドロから石油の密輸ビジネスに誘われ、ヨルダンのアンマンでシャヒム・アル・ダスーキという人物と対面。そこでジェームズは、ダスーキとの間で320万ドルの巨額契約を結んだ。一方、スウェーデン・ストックホルムの北朝鮮大使館に呼び出されたウルリクは、職員からウガンダに建てる秘密工場のイメージ写真を受け取り、「今後、何かあっても当大使館は一切関知しない」と告げられる。
2019─2020
2019年のコペンハーゲン。ウガンダの秘密工場、北朝鮮の武器売買、ダスーキが絡む石油密輸という三角取引の契約を結ぶため、北朝鮮の特使がやってきた。その契約書にサインしたジェームズは、後日、カンボジア・プノンペンのホテルで武器商人のダニーから北朝鮮の最新兵器リストを手渡される。
ジェームズはダニーとの商談後、忽然と姿を眩ました。これ以上の潜入調査は危険と判断したブリュガーの指示によるものだった。続いて、ウルリクも同年のコペンハーゲンで行われたKFA年次総会のスピーチを最後に、潜入スパイのミッションから身を退くことに。しかしウルリクには、まだやるべきことが残されていた。それは10年間にもわたって重大な秘密を隠してきた妻サーシャと、彼がずっと欺き続けてきたアレハンドロへの“真実の告白”だった……。
場面写真
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監督

PROFILE

MADS BRUGGER
マッツ・ブリュガー/監督

1972年6月24日生まれ、デンマーク出身。ブリュガーは、複数の書籍を執筆し、雑誌や新聞にも寄稿しているジャーナリストであり、深夜番組やニュース番組などの司会も務めるほか、ラジオ番組のプロデュースも行い賞を受賞するなど多彩な才能を持つ人物だ。さらに、様々な環境に潜入する“パフォーマティブ・ジャーナリズム”と呼ばれる彼独自の手法で「Danes for Bush」 (2004)などの風刺的なTVドキュメンタリー・シリーズを制作。映画監督としては、長編ドキュメンタリー『ザ・レッド・チャペル』 (2009)でデビューを果たすと、第26回サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門・審査員賞を受賞した。同じくサンダンス映画祭に出品され、「トーキョーノーザンライツフェスティバル2014」で上映された、アフリカの政治汚職に切り込んだ『アンバサダー』(2011) などの作品も制作している。また、2020年に日本でも公開された、第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルドの飛行機事故の真相を追った『誰がハマーショルドを殺したか』(19)では、第35回サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門で監督賞を受賞。世界78もの映画祭で上映され、9つの受賞を果たした。米ハリウッド・レポーターの年間ベスト映画ランキングでは10位、世界304人の批評家が選ぶ2019年のベストドキュメンタリーでも12位に選ばれ、Hollywoodnews.comが選ぶ2019年ベストドキュメンタリー2位を獲得し、その才能を世界に知らしめた。